両刃の剣

僕の友人でアルゼンチンで宣教している人がいる
バプテスト派っていうキリスト教の一派で
プロテスタント系だと思う

彼の人生は強烈であった
在日コリアンとして
両親の離婚を経験して
自己との葛藤を通じて

僕には彼が必死に自分を抑えこもうとしてる
ように感じられた
暴力的衝動、破壊的願望
それにもがき苦しむさまと孤独と疎外感と
自己の正当化と信じるこころ

制御できない自分
暴れそうになる自分をなんとか抑えようと
する様があまりにも痛痛しく悲しかった

マイナスの衝動を聖なるもので抑えこもうと
している切実なものに感じられた
とても痛々しくて毒っぽくって
それでいて正しい道に自己を向かわせようと
していて、両刃の剣のようでいて

苦悩
自己との戦い
それはあまりにも痛ましくて
切実で鋭利で狂気染みてて
それでいて感動的である

そんな彼は進化論を否定し聖書の一字一句を
信じている
よくそれでバトルになる
彼は耐える人である
僕の毒にも耐えてくれる
けっして押し付けようとしない
彼の愛は屈折していたとしても
素晴らしいと思う
それがどれほどに屈折していようと
彼の行いは素晴らしい

宗教は両刃の剣である
でも彼個人として
僕は彼の生き方を否定できないし
彼をドライブする力も否定できない
願わくば彼は個人として生きてほしい

宗教と政治性
そこに踏み込まないで